漢方薬での治療 ②血の異常

漢方では、「気・血・水」の三要素が生体を循環し、生命活動を支えると考えます。
そして、気・血・水は互いに影響しあいます。
このコラムでは、「血」の異常について説明します。

血の異常

「瘀血(おけつ)」と「血虚(けっきょ)」の2つのパターンがあります。
「気」や「水」の異常と関連することも多いです。

瘀血(おけつ) :血の巡りが悪い状態
血虚(けっきょ):血が量的に不足した状態

瘀血(おけつ)

症状

血の巡りが滞ると、瘀血(おけつ)といって、頭痛、のぼせ、目の下のクマ、生理に関連する身体の不調、四肢末端の冷え、イライラ、などの症状がでます。
生理の前後、更年期には瘀血(おけつ)による症状をきたしやすいです。

特徴的な所見

特徴的な身体の所見としては、舌下静脈の怒張(どちょう)があげられます。
舌下静脈は、舌の裏にある静脈です。舌の裏側を鏡にうつすと、自分でも舌下静脈を見ることができます。
怒張(どちょう)とは、この舌下静脈が太くなっていたり、盛り上がっている状態のことを言います。

治療

血の巡りをよくする、駆瘀血剤(くおけつざい)を使用します。
主な駆瘀血剤(くおけつざい)として、桃核蒸気湯(とうかくじょうきとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などがあげられます。

血虚(けっきょ)

症状

血の量が不足すると、顔色が悪い、皮膚が乾燥する、頭髪が抜けやすい、眼精疲労、集中力の低下、などの症状がみられます。
瘀血(おけつ)と血虚(けっきょ)は合併することも多いです。
血を十分に作り出せない、もしくは、血の消費が多い場合があげられ、悪性腫瘍の化学療法時や産後に出現しやすいといわれています。

治療

血を補う補血剤(ほけつざい)を用います。

基本処方は四物湯(しもつとう)となります。そのほか、温清飲(うんせいいん)、十全大補湯(じゅぜんだいほとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)なども用います。

参考

「気」の異常、「水」の異常については、こちらのコラムをご覧ください