うつ病の療養 ①療養開始時

基本となる考え方

1)休養、2)薬物療法、3)精神療法が治療の3本柱です。
軽症であれば、仕事や学校を休まずに済みますが、多くの場合はまとまった休みを取り、しっかり休養することが必要になります。
自宅療養を始めたばかりの時は、ぐったりしてしまい、一日中寝込んでしまうこともあります。
「休んでしまってよかったのだろうか。本当はもっと頑張れたのでは。」、「職場はどうなっているのだろうか?」、「みんなに迷惑をかけてしまって申し訳ない」、「本当に良くなるのだろうか」など不安や後悔で落ち着かなくなる方もいらっしゃいます。
現在の状態は、「脳のエネルギーが低下した状態」です。まずは、そのエネルギーを回復させるための「待つ時間」が必要になります。
2週間~1か月ほどで徐々に気持ちが落ち着いてきます。それまでは、処方されたお薬を飲み、体をゆっくり休ませることに専念してください。

入院治療の選択について

症状が重い方が入院治療の適応になると思われるかもしれませんが、自宅で効果的な療養ができない方にも入院治療をおすすめする場合があります。当院には入院施設はありませんので、入院が必要と判断した場合には入院施設のある病院をご紹介します。

家族や家事が気になってしまい、自宅では落ち着いて休めない方

家から離れないとゆっくり休養できない方も多くいらっしゃいます。家族に気を気を遣ってしまい、ゆっくり休めそうにない方は、入院治療を希望されることもあります。

単身生活で、自宅や実家での療養が難しい方

様々な事情で家族のもとに戻るのが難しい場合もあると思います。治療開始時は心身のエネルギーが欠乏し、寝込んでしまうこともあります。ひとりで過ごすことで孤独感が強まり、死にたい気持ちにつながっていくことも心配です。食事を始めとした生活のリズムを整いやすくするためにも、入院治療を提案することがあります。

お願いしたいこと

先ずは、ゆっくり休むことが大事です

ご本人だけでなく、ご家族も不安が大きい時期だと思います。寝込んでいる様子を見て、「もう、このままダメになってしまうのではないか」と、ご家族も苦しい気持ちになることもあるでしょう。見守っているだけでいいのか不安になり、散歩や外出に誘ってみたというお話もお聞きすることが多いです。
治療開始時は、車に例えるとガス欠状態と言えます。したがって、無理に動かすことはできません。「見守ること」「待つこと」をご家族にもご理解いただきたいと思います。

お薬の副作用が目立つ時期です

一般的に、副作用は飲み始めに感じやすく、薬の効果がでてくるのは10日~2週間後です。そのため、「このまま薬を続けて大丈夫なのだろうか」「薬は効いているのだろうか」と不安になる方が多いです。

薬の種類によって副作用はさまざまですが、共通する副作用としては「頭がぼーっとする」「眠気がある」「ふらつき」があります。
一般的によく用いられるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)では、内服開始後1週間程度「むかむかする」などの消化器症状や頭痛が出現することがあります。副作用は2週間程度で改善しますが、副作用が強く出て内服を続けるのが難しいと感じたときは、受診の際にお知らせください。ご自身でできる副作用の対処方法としては、胃腸薬を内服する、消化の良い食事にするなどがあげられます。
なお、副作用の確認や薬の調整が大事な時期ですので、治療導入期は1~2週間ごとの通院が望ましいです。

療養の次の段階については、こちらをご覧ください