うつ病の療養 ④復職に向けて
生活リズムを整えていくと、うつ病の症状が改善し、体調が安定してきます。
職場復帰について、具体的に考えていく時期になります。
症状がよくなってきても、薬は続けて下さい
体調がよくなり、気分も安定してくると、「もういいだろう」と治療を中断する方も出てきます。うつ病の症状が取れて、すぐにお薬をやめると症状が後戻りしてしまうことが多いです。お薬の力を借りてよい状態が保てている時期ですので、自己判断で抗うつ薬を中止するのはやめてください。
復職に向けて焦りや不安があるのは自然です
復帰に向けて準備していると、「職場に受け入れてもらえるだろうか」「仕事について行けるだろうか」「周りとうまくやっていけるだろうか」など色々な心配ごとが出てくると思います。そのような場合は、信頼できる人や主治医にも相談して下さい。全ての心配ごとが一気に解決するのは難しいですが、「体調の回復や復職の一般例の情報提供」や「今後に向けて一緒に考える」ことは可能です。
自分の考え方のクセや行動パターンなどを振り返り、ストレスを感じたときに陥りやすい悪循環に気付いて対策を立てることも、体調管理に役に立ちます。
復職に必要なこと
復帰するためには、生活リズムが整っていることが大前提となります。
1)復帰後に必要な起床時間に起きられる
2)通勤時間帯に一人で通勤が出来る
3)日中の気力体力が回復している(昼寝がない)
先ずは、上記の生活リズムに近づけるように、少しずつ基礎体力をつけていって下さい。
「好きなこと」だけでなく、「しないといけないこと」が出来るようになる必要があります。
生活記録表(リズム表)で、現在の自分の状況を客観的にみていきましょう。
ただし、無理は禁物です。
生活記録表は、 こちらからダウンロードが可能です。
日中の活動例
外での活動
体力をつける…散歩、ジョギング、買い物、友人との食事など
(例:万歩計での歩数管理もおすすめです)
集中力をつける…カフェや図書館で読書や勉強をするなど
(例:語学学習、業務に関わる本を読む、新聞記事の要約、資格試験の勉強、ストレス対処の本を読む等)
家の中での活動
体力をつける…ストレッチ、ラジオ体操、家事(掃除や洗濯)など
集中力をつける…読書や勉強、PC作業、ゲーム、家事(炊事)など
通勤訓練
先ずは、混雑してない時間帯に公共交通機関で会社の近くまで行ってみてください。無理は禁物ですので、最初は最寄りの駅やバス停まで行ってみて、気分や体調を確認してみるのもいいでしょう。
大丈夫そうであれば、混雑した時間帯にも会社の近くまで移動してみて下さい。混んだ電車やバスに乗るのは、思っている以上にエネルギーを使います。
通勤訓練に自信がついたら、会社や自宅近くの図書館で読書や勉強をして過ごしてみるのもおすすめです。
会社が求める復帰判断基準の例
厚生労働省による「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、復帰判断基準として以下の項目が挙げられています。
・復職に十分な意欲を示している
・通勤時間帯に一人で安全に通勤ができる
・決まった勤務日、時間に就労が継続できる
(例:1日8時間、週5日)
・業務に必要な作業ができる
・作業による疲労が翌日までに十分回復する
・適切な睡眠覚醒リズムが整っている
・昼間に眠気がない
・業務遂行に必要な注意力・集中力が回復している
など
会社と主治医の判断には、ギャップがあります
主治医と会社が考える回復の認識には、ギャップがあるのが普通です。
主治医は「日常生活が問題なく送れる」ことを回復の目安と判断することが多いです。一方で、会社は、「問題なく勤務できるか」を判断基準にしています。
主治医が復帰可能の許可を出しても、実際に働けるかどうかを最終判断するのは会社側になります。会社との面談で、復帰には時期尚早と判断される場合もあります。このような判断が出ることに、落ち込むと思います。しかし、時期尚早という判断は、復帰後の再発リスクを下げたいという前向きな判断とも言えます。
仕事の情報を主治医に伝えておくことが大切です
・休職前に行っていた仕事の内容、仕事量
・職場の環境
・残業、出張、深夜勤務、運転業務の有無
・繁忙期の有無
・勤務先の支援体制の有無